銀行員は経営承継の最良のアドバイザーである | 株式会社クロスリンク・アドバイザリー

コラム

2020/4/3

銀行員は経営承継の最良のアドバイザーである

銀行の事業承継提案の現状

中小企業の多くは、後継者未定の状況にあり、これを放置すると中小企業の廃業とそれに伴う雇用の喪失が予想されます。
このような状況の下、多くの銀行には事業承継対策の専門セクションがあります。

取引先の存続を心配し、また時には、自らのビジネスチャンスを目的として、顧客企業に事業承継対策の提案を行っています。
各々の銀行のスタンスに差はありますが、100人以上の部員がいて、税理士も驚くような事業承継の税務に関する専門的な提案を行っている銀行もあります。

ただ、弊社が銀行の提案を拝見する限りでは、税務アドバイスに偏っているものが多いと感じています。

税務アドバイスに偏ることの問題点

弊社は、銀行の事業承継対策提案において重要なことは、税務アドバイスではないと考えています。
もちろん、顧客の顧問税理士が事業承継に精通していないので、経営者が困っている場合など、経営者が事業承継対策を検討する初期段階では、銀行が行う税務アドバイスは多いに役に立つでしょう。

しかし、銀行員は税理士ではないので、最終的に事業承継スキームの税務的な検証、税務申告を行うことはできません。

いくら素晴らしい提案であったとしたとしても、銀行単独では、税務面のサポートは完結しないということです。 つまり、銀行員は、株価計算をすることや、税金の額を減らす提案にばかり力を入れるのではなく、その点は、事業承継を得意とする税理士(法人)と協働すればいいことです 。

銀行員がすべき事業承継対策提案とは

税務アドバイスにのみ力を入れてきた銀行は、税理士にその部分を任せると、自分たちの仕事がなくなってしまいます。
しかし、銀行には、もっと他にやるべきことがあるのです。それは、経営の承継についてのアドバイスです。

銀行員は、企業の経営を分析するプロです。融資業務を通じて、多くの銀行員は、取引先の事業計画を検証し、経営についてのアドバイスを行っているはずです。

事業承継も事業計画の一部と考えて、アドバイスすべきであり、これは、一般的には税理士にとって苦手な分野です。
具体的には、①事業承継対策を織り込んだ事業計画の検討と②経営体制の構築のアドバイスです。

①事業承継対策を織り込んだ事業計画の検討

中長期的な事業計画を立て、経営をバトンタッチするのに好ましいタイミングを検討したり、事業承継にかかる資金調達計画や、それに伴う財務への影響を経営者にアドバイスすることは重要です。

例えば、自社株を後継者に渡す場合、株価の高い会社の場合には、多額の借入が必要な場合がありますが、その借入は何もリターンを生むものではありませんので、必要ではあるものの、会社の財務内容にはプラスではありません。
ですから、自社株を渡す際の借入以外に、設備投資での資金調達計画がある場合には、その資金調達の可否に影響が生じる可能性もあります。
その影響について判断ができるのは、融資をする当事者の銀行だけですから、中長期的に、事業承継を織り込んだ事業計画のサポートをする必要があります。

②経営体制の構築のアドバイス

経営体制の構築とは、後継者が経営権や支配権を確保して安定的な経営を行うための役員、株主構成を検討することです。
経営者は、役員構成や株主構成はどうあるべきかというセオリーをご存知ない場合もあり、安定的な経営を継続できるような体制の構築について、客観的なアドバイスが必要だということです。

これについても、銀行は融資業務において、企業収益などの財務面だけではなく、企業の定性面についても調査・分析をしているので、アドバイスをすることのプロだということができます。

まとめ

銀行員は、税理士の協力なしには税務アドバイスを完結できないとしても、事業承継対策の税務知識を習得しなくてもいいということではありません。むしろ、税理士が驚くほどの知識を習得していただきたいと思います。

しかし、税理士という税務の専門家が存在する以上、その知識を売り物にするのは得策ではありません。
銀行員は、経営判断のプロとして、経営承継のアドバイスをすることについては、素晴らしい知識と経験を有しているのです。
その知識を使って、ぜひ、経営の承継のアドバイスを行っていただきたいと思います。

尚、経営承継のアドバイスの詳細につきましては、弊社の「社長に事業承継の話を切り出すための本」をご参照ください。

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