社長が顧問税理士に期待していること | 株式会社クロスリンク・アドバイザリー

コラム

2020/1/20

社長が顧問税理士に期待していること

別のコラムで、顧問税理士が社長から信頼されている理由について、ご説明しました。

それでは、社長はどのようなことを税理士に期待していて、それに対する税理士の対応はどのような状態なのかということについて、私がこれまでにお会いした社長のコメントをもとにご説明します。

事業承継対策について積極的な提案が欲しい

社長から、下記のようなコメントをいただくことがあります。

「自分から相談しないと、税理士は事業承継対策の提案をしてくれない」

「自社株の評価を依頼したのに、株価の計算結果を教えてくれるだけで、具体的な提案がない」

社長は、会社の内容を把握している税理士は、会社の状況に応じて、財務に関する提案をしてくれることを期待していることが多く、特に事業承継をそろそろ考える年齢の社長は、最も信頼している税理士から事業承継の提案があることを期待しています。

例えば、税理士に株価算定を依頼するということは、事業承継対策に着手するという意思表示であるのに、顧問税理士から何の提案もなければ、落胆されるのは当然です。

50代半ばの経営者は、漠然と事業承継対策について考える時期です。もちろん、すぐにバトンタッチできる年齢ではありませんが、計画的に事業承継対策を検討するために、ぜひ税理士から社長に事業承継対策のことについて、声を掛けていただきたいと思います。

相談に対応して欲しい

社長から、下記のようなコメントをいただくことがあります。

「事業承継対策の相談をしたら、社長が長生きすることが事業承継対策ですよと言われた」

あまり事業承継対策のご経験がない年配の税理士が、社長にこのような説明をされることがあるようです。

確かに、税理士には専門分野があり、事業承継対策のご経験がなくても仕方がありません。

しかし、社長は、税理士は税務のことは全て対応してくれると考えているケースが多いので、このような説明があると、まともに対応してくれていないと、がっかりされることになります。

ご自身に事業承継対策の経験が乏しい場合には、経験豊富な税理士法人や、コンサルタントと協働することは、決して恥ずかしいことではありません。

それよりも、社長からのご相談に対応しないことの方が、問題だと思います。

「餅は餅屋」と割り切って、お考えいただくのが、顧問先のためになることなのです。

他社の事例も教えて欲しい。

社長から、下記のようなコメントをいただくことがあります。

「事業承継対策を考える上で、他社の好事例や失敗事例を聞きたいが、なかなか情報を得られない」

顧問先において事業承継案件が少なかったとしても、税理士は横のつながりで、色々な事業承継案件の情報を知っている(知ることができる)と社長は考えています。

ですから、社長から質問があった場合、自社事務所には情報が少なかったり、判断ができない案件だったとしても、他の税理士等から情報をとったり連携して対応する努力は大切です。

専門用語は使わないで説明して欲しい

社長から、下記のようなコメントをいただくことがあります。

「自分は専門家じゃないんだから、素人にわかるように説明して欲しい」

事業承継対策の税務の説明をする場合、専門用語が多くなりますが、社長は専門家ではないので、平易な言葉に置き換えて説明することが必要です。

例えば、社長は「類似業種比準価額」という単語でさえ面喰ってしまうことがありますし、まして、適格要件や株特、DESなど略語が説明のなかに出てくると、社長は、理解することができなくなります。

わからなければ、質問すればいいと思われるかもしれませんが、年配の社長がわからないとは言いたくないものです。

その点に配慮して差し上げ、社長がご存知ないであろう専門用語や略語は、極力使用しないことです。

素人に理解できるように解説できるのが、本当の専門家です。

口頭説明だけだと忘れてしまうので、資料を作って欲しい

社長から、下記のようなコメントをいただくことがあります。

「口頭の説明だけだと、その時にはわかったような気がするけど、後でもう一度考えると、資料がないからわからないことが多い」

専門用語をわかりやすく説明するといっても、口頭では限界がありますし、国税庁のタックスアンサーのコピーを渡すだけでは、素人が理解するには、やや難しいでしょう。

その会社のための資料を作成して説明すれば、理解しやすいということもありますし、社長があとから見直すことができるという利点があります。

パワーポイントで綺麗な資料を作ることまでは、されなくてもいいですが、手書きではなく、せめてワード程度でもいいので、資料をみながら解説していただきたいものです。

まとめ

ご説明した事例は、私が色々な社長からお聞きした範囲での内容ですので、決して、全ての税理士がこのような状況であるということではありません。

ただ、このような状況が思い当たる方は、ぜひ、見直しをしていただいて、社長のご期待に沿うご対応をしていただければと思います。

尚、社長に事業承継へのお話をすることが苦手な士業・金融機関担当者向けにコンサルティングや研修を行っておりますので、お問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。

また、「社長に事業承継の話を切り出さすための本」にも、提案の心構えや会話方法を解説しておりますので、お読みいただければ幸いです。

合わせて読みたい