後継者に伝えたいことは書面に残す | 株式会社クロスリンク・アドバイザリー

コラム

2020/3/25

後継者に伝えたいことは書面に残す

経営を振り返る ~ 「私の履歴書」を作成 ~

事業承継を始めようと思い立っても、何から取り組んでいいのかわからないという社長も多いことでしょう。 事業承継対策=税務対策ではないことは、第一回のコラムでご説明しました。
経営を引き継いだ後も、後継者がきちんとやっていくためには、経営のあり方や、会社が発展した歴史を後継者に伝える必要があります。

そこで最初に取組むことは、社長に今までの経営を振り返っていただくことです。
事業において成功したこと、失敗したこと、悔しいこと、これだけは経営をする中で守らなければならないとお考えの信条など、たくさんおありだと思いますので、これらを整理して書面に残してください。
イメージとしては、日経新聞の「私の履歴書」のようなものを書いていただくということです。

それらの情報は、社長のみが体験して、頭の中にあったり身体に染みついているものですが、社長が亡くなってしまえば誰にもわからなくなってしまいます。
業歴の長い会社は、社史を作られている場合もあります。会社が発展してきた歴史を知るためには有意義な情報ですが、経営者の判断や想いまでを知ることはできないものです。
個人財産については遺言を作成しますが、これは会社版の遺言とも言えます

後継者向け経営マニュアル

社長が、後継者であるご子息に経営のご苦労話をされると、ご子息は、どうしても親子の甘えもあり「親父、その話は何回も聞いたよ」とおっしゃることもあるでしょう。

それでは、社長のご経験や経営上の重要な情報が伝わらないことになり、後継者にとってだけでなく、会社全体にとっての損失となります。
従って、社長は後継者に伝えたいことを書面で残すことが大切なのです。

社長初心者の後継者にとっては、経営のマニュアルがありませんので、最初から経営者として活躍することはできないものですが、社長が残された書面は後継者向け経営マニュアルとして、後継者にとって重要な道標になるでしょう。

また、後継者が社長に就任されたばかりの頃だけでなく、社長を始められて何年か経過した後、経営判断に迷っても社長がいなければ、聞くことはできません。そんな時には、社長が残した書面が役に立つのです

◆事例 後継者に想いを伝える書面を残した社長のお話

私がお会いした80代の社長は、息子である後継者に「私の履歴書」を渡しました。
内容は、会社の創業から現在に至るまで、荒波を乗り越えて来られた歴史や、後継者や会社に対する想いがたくさん詰まっていました

社長は、当初、口頭で後継者に話をしようと考えていましたが、書面にまとめてみると、後継者に伝えるべき内容があまりに多いことと、苦労話をするのは照れもあることから、その全てを口頭で話すことは難しいと考え、書面を渡すことにしました。

また、後継者に書面を渡す際に、この内容の全てが必要な時期は今だけではないので、経営で困った時に読み返して欲しいと付け加えました。

後継者も当初はこのような話は、親父の自慢話と思って、めんどくさがっていましたが、高齢の父親がわざわざ自分のためにここまでしてくれたことに大変感謝され、日々の経営に活用されているとのことです。

具体的なご準備について

後継者に何を伝えるべきなのかということが、イメージしにくい経営者のみなさまは、弊社の「社長に事業承継の話を切り出すための本」をご参照ください

また、具体的なアドバイスが必要な経営者のみなさまは、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡いただければ幸いです。

合わせて読みたい