令和4年度税制改正 暦年贈与制度改正はどうなったのか? | 株式会社クロスリンク・アドバイザリー

コラム

2021/12/14

令和4年度税制改正 暦年贈与制度改正はどうなったのか?

今回の改正は見送られた

令和3年12月10日に、令和4年度税制改正大綱が公表されました。
ここ数か月、「暦年贈与がなくなる」という話題を、メディアが頻繁に取り上げ、税制改正の動向が注目を集めていましたが、蓋を開けてみると、暦年贈与の改正は見送られていました。
【令和4年度税制改正大綱】はこちらから

暦年贈与制度の改正は今後どうなるのか

今回の税制改正大綱をみると、暦年贈与制度の改正については、令和3年度の税制改正大綱とほぼ同様の内容が書かれていましたので、改正の方向性は変更がないと考えられます。

税制改正大綱に書かれた改正の主旨と方針を要約しますと、次のような内容です。

  • 相当に高額な相続財産を有する層にとっては、暦年贈与制度により財産の分割贈与を通じて、相続財産を減らし、相続税の税率を引き下げることが可能である。

▶解説
つまり、富裕層は相続で財産を渡すことになると、相続税の最高税率55%が適用されることが想定されますが、それを回避するために、暦年贈与制度の非課税の適用や、相続税(55%)よりも低い税率での贈与を行うことによって、財産の移転に関する税率を下げることができ、これを税務当局としては、不公平と考えているということです。

  • 今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一定的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

▶解説
諸外国の制度を参考にして、今後、富裕層もそれ以外の層も、財産を渡す時期に関わらず、税を公平に負担する仕組みを構築するということです。

・暦年贈与のご説明はこちらから

・相続時精算課税制度のご説明はこちらから

これからの贈与をどのように考えたらよいのか

■早期の贈与は引き続き有効

これまでご説明したように、暦年贈与制度はなくなり、「相続税・贈与税の一体化」を行うという方針は変更がない模様ですので、改正が行われるという前提で、財産を渡す計画をされることが大切です。
暦年贈与の非課税枠や、相続税よりも税率が低いゾーンでの贈与を行いたいと考える方は、早期に財産を贈与されることが重要です。

■相続財産の把握と税率の確認

まずは、ご自身の財産額を把握し、相続で財産を渡す場合の税率が何%なのかをご確認ください。
相続税率が55%の場合には、それ以下の税率で贈与をするとメリットがあるということになります。

尚、経営者の場合には、自社株の評価額がわかっていないと、相続財産の総額がわかりません。
従って、直近の自社株評価を把握されていない場合には、まずは税理士さんに株価算定を依頼することから始める必要があります。

株価算定の仕組みをご理解されたい場合には、「これならわかる株価算定」がお役に立ちます。


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